昔 親に取り上げられた本



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会社帰りにふらっと立ち寄った書店で

平積みになっているある文庫本を見つけた。

 

殺人勤務医 (角川ホラー文庫) [ 大石 圭 ]

殺人勤務医 (角川ホラー文庫)

殺人勤務医 (角川ホラー文庫)

 

 

そうそう、中学生だった私が買ったのはこっちの表紙だった。

近所の書店で見つけて読みたいと親にねだって、

買ってもらったはいいものの、

中身を知った親に取り上げられてしまった。

 

……まあ、その本が本棚の一番奥にしまわれていたことを知ったので親のいない間に取り出しては読んでいたんだけど

 

 

ただ、読破したのかは記憶になく、

以前テレビ番組である殺人事件の犯人がこの本を愛読していたということを知ったこともあり、

改めて買って読んでみた。

 

 

作品はとても面白かった。

 

 

特別グロテスクでも道徳的に問題があるような表現もない。これを愛読書としていた人はただのホラー・サスペンスが好きで本の趣味が良かったのだと思う。

 

 

ところどころ記憶にない部分もあったが、ラストまで覚えていた。中学生の私は刺激の強い部分だけかいつまんで読んでいたらしい。

 

 

その頃は性体験もまだだったので性的描写を熱心に読んだと思う。

 

 

今の私にとっては、主人公の31歳男性医師と、その医師の務める医院の院長54歳女性との恋模様の方がグッとくるものがあった。

 

「あと10年出会うのが早かったら、あなたの子を生めたかもしれないのに……」

 

 

 

ホラーかと言われるとそうではない、ゴア表現も期待すると物足りない。

ただ、しょうもない逮捕劇や余計な人間模様、転落していく様子もなく、虐待・ネグレクトといあ暗い過去を背負ってはいるものの勝ち組であるはずの主人公(作中虐待されてきたことを周囲に明かしても笑われるような人物)が「ただ人を殺したいんだ」淡々と人を殺していくさまは爽快感すらある。

 

 

合間合間に挟まれる中絶に関する豆知識がまた色々と考えさせられた。

アメリカでは8割の州で中絶手術を行う医師がいないらしい、など……。

 

 

買ってきて1日で読み切ってしまった。

次は横に並んでいた「玩具修理者」を読もうと思う。